108 自分だってそうなんだ。

 どこかのニュースサイトやブログ、または部屋の棚にある本でもいい、誰かが自身の仕事や習慣について書いた話を読むときに、どんなことを考えてる?
 この話を書いているのは自分よりもすごい(何が?は気にしないで!)人が体験したことで、自分はその物語を読んでいるだけ。そう考えてはいないかな。これはブラウザの向こうや本の中での話、読み終わったら自分にはいつも通りの会社があって、いつも通りの仕事が待っている、自分にはできない話、なんてね。それはもしかすると、大体はその通りなのかもしれない。でも、本当にそれだけ?
 それを書いたのは有名な人で、メディアを通して顔も名前も知っている。名前は知っているけれど顔は知らない。または、たまたまソーシャルブックマークやTwitterで見かけたリンクを辿っただけで、いままで名前を聞いたことすらない。いまきみが思い浮かべた話を書いた人がどれかは分からないけれど、共通しているのは、自分が日常で出会う人ではない。それが、そう考えた理由じゃないかな。

 もしきみがこの本を読んだら、またそういう事を考えるかもしれない。でも、ちょっと待って。それを書いた「人」に対してはそうかもしれない、たしかに直接会ったことはないかもね。(※1)
 けれども、話に出てきたOSはどうだろう。プログラミング言語は?使っていたテキストエディタは?もしかして自分がいつも使っているのと同じじゃない?この話、お客さんに同じことを言われたことあるな、この前リーダーも同じようなことしてた、または同じチームの彼が飲み会で愚痴ってた、なんて思わなかった?それって実は、自分のすぐ近くにもあることじゃない?
 本に出てくる話のいくつかは、名前と写真を、いつも一緒に仕事している彼や彼女に置き換えてもあてはまるんじゃないかな。もしかすると、それは自分だったりして。

 ちょっと回りくどくなっちゃったけど、ぼくが言いたいのは、つまりはこういうこと。きみが読んだその話はブラウザの向こうや本の中だけではなくて、いまきみがいる、そことつながっているところでの話なんだ。そしてそこは決してたどり着けないところではない。
 ぼくがこんなことを言うのは、この気付きがぼく自身の転機になったから。(※2)この時から、ぼくは変わったと思っている。そして、よかったとも思っている。そんな気持ちをぜひ感じて欲しい、そう思ったんだ。
 もしきみがなにか気がついたら、ぜひ教えて欲しい。自分が思いつかないようなことを聞けるのは、とても素敵なことだから。

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  • (監修)和田 卓人
  • (編集)Kevlin Henney
  • (翻訳)夏目 大

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