ソフトウェア職人気質―人を育て、システム開発を成功へと導くための重要キーワード ピアソンエデュケーション(2002-03)
ピアソンエデュケーション |
ソフトウェアを量産品と見立て、フェーズごとに分業が容易、また担当者の代替が容易なものであるという前提にあることのメタファを「ソフトウェア工学」、対してソフトウェアを工芸品と見立て、担当者の技能が製品の品質に大きく関わり、それぞれのフェーズは簡単に区切れるものではなく、それらをまたいだ知識が必要であることのメタファを「ソフトウェア職人気質」と呼んでいる。(だいぶザックリ)
残念だけど訳がわかりにくいところが散見された。たとえば意味としてセットになっているものの表記に統一感がないところ。
文中で上中級、初心者をそれぞれ熟練職人、ジャーニーマン、アプレンティスとしているのだけれど、熟練職人をクラフトマンにするとか、そのほかを見習い、駆け出しとするなど統一感をもたせて欲しかった。
しかし、ソフトウェアを工芸品ということでそれに対するこだわりやプライド、徒弟制度ということで後続教育のあり方を表しているところは理解しやすい。
職人というとなにやら偏屈だっていうイメージがついて回るけど、それは見方を変えれば自分の作るものにこだわりを持って妥協をしない、ということでもあると思う。
とにかく早く、とにかく安く、というプロジェクトをよく聞くのだけど、いいものにはそれだけ時間と金がかかるという認識、かけるという考え方がもっと当たり前になって欲しい。
その「いいところ」がなかなか数値化できないから難しいのだけれども。
そして、この本はこう締められている。
ソフトウェア開発は楽しくなければなりません。そうでなければ、そのプロセスは間違っているのです。
かくありたい。
つぎは達人プログラマーへ。
[ref.] ソフトウェア開発の名著を読む。